日本語読解 ・ 学習プリント
専門家を信じるということ — 判断を預けすぎないためにJLPT N2 程度
主旨把握問題(筆者の主張を読み取る)| 原文・全文訳・語彙・文法・解答解説つき
课文原文(本文)
★ 次の文章を読んで、後の問いに対する答えとして最もよいものを一つ選びなさい。
医療、法律、金融、情報技術など、現代の生活は、一人では理解しきれないほど複雑な知識に支えられている。私たちは、病気になれば医師に相談し、契約を結ぶなら法律家の助言を求める。それ自体は当然のことだが、「何が分かっているか」を尋ねるうちに、「私は何を選ぶべきか」まで決めてもらおうとすることがある。専門家を信頼するとは、判断そのものを専門家に預けることなのだろうか。
専門家が答えられるのは、ある条件のもとで何が起こりやすいか、どの方法にどんな危険があるか、といった問いである。しかし、複数の可能性のうち何を優先するかは、知識だけから自動的に出てくる答えではない。安全性を最も重く見る人もいれば、費用や時間、生活の自由を優先したい人もいる。①専門知が示すのが地図だとすれば、どこを目的地にするかは、その地図だけでは決められない。
例えば、ある治療には、成功する可能性が高い一方で、強い副作用が長く続くという負担があるとする。医師は成功率や副作用の程度を説明できるが、その負担を受け入れてでも治療を選ぶべきかを、医学だけで決めることはできない。少しでも長く生きる可能性を重視する人と、苦痛を抑えて普段の生活を守りたい人とでは、同じ説明を聞いても選択が異なりうる。どちらかが情報を理解していないのではなく、大切にしているものが違うのである。
もちろん、専門家も間違えるし、同じ分野の専門家同士で意見が分かれることもある。だからといって、専門知を、インターネットで偶然目にした情報と同じ重さで扱ってよいわけではない。長い訓練と検証の積み重ねには、個人の印象にはない価値があるからだ。必要なのは、専門家に従うか拒むかという二者択一ではなく、何を任せ、何を自分で引き受けるかを区別することである。
そのためには、専門家に結論だけを求めるのではなく、何を根拠にそう考えるのか、どこに不確かさが残るのかを尋ねる必要がある。同時に、自分が何を恐れ、何を守りたいのかを専門家に伝えなければならない。そうして初めて、専門知はその人の生活に合った判断の材料となり、新しい情報が出れば決定を見直すこともできる。専門家を信じるとは、考えることをやめることではなく、互いの限界を認めながら判断を作っていく対話なのである。
全文翻译(中文对照)
第一段:医疗、法律、金融、信息技术等,现代生活由个人无法完全理解的复杂知识支撑。我们生病会咨询医生,签约会寻求法律人士建议。这本很自然,但在询问“已知什么”的过程中,有时连“我该选什么”也想让专家决定。信任专家,是否就等于把判断本身交给专家?
第二段:专家能回答的是,在某些条件下什么更可能发生、某种方法有什么风险等问题。然而,在多种可能性中优先什么,并不是仅凭知识就能自动产生的答案。有人最看重安全,也有人优先费用、时间或生活自由。若专业知识提供的是地图,那么把哪里定为目的地,仅靠地图无法决定。
第三段:例如某治疗成功可能性高,却伴随长期强烈副作用。医生能说明成功率和副作用程度,但是否接受负担选择治疗,不能只靠医学决定。重视延长生命的人,与想减少痛苦、守住日常生活的人,即使听到同样说明也可能选择不同。这不是谁没理解信息,而是珍视的东西不同。
第四段:当然,专家也会犯错,同领域专家之间也会意见不一。但这不意味着可以把专业知识与网上偶然看到的信息等量齐观。长期训练和检验的积累拥有个人印象所没有的价值。需要的不是服从或拒绝专家的二选一,而是区分什么可交给专家、什么须自己承担。
第五段:因此,不应只向专家要结论,还要问其依据是什么、哪里仍有不确定。同时必须告诉专家自己害怕什么、想守护什么。如此专业知识才成为适合个人生活的判断材料,也能在新信息出现时修正决定。信任专家不是停止思考,而是承认彼此限度、共同形成判断的对话。
文章结构与段落分析
提出信任专家是否等于交出判断的问题。
区分专业事实与个人价值,并以医疗选择具体说明。
同时排除盲从专家和拒绝专业知识两个极端。
把成熟信任定义为说明依据、表达价值并持续修正的对话。
第1段の役割 ― 問題提起(専門家への依存)
从现代生活离不开专家这一事实出发,指出人们常把“请说明”进一步变成“请替我决定”,由此提出全文核心问题。
第2段の役割 ― 区別(事実判断と価値判断)
建立全文最重要的区分:专家能基于特定条件说明风险和可能性,却不能仅凭专业知识决定当事人应优先何种价值。地图比喻用于说明信息与目的之间的差异。
第3段の役割 ― 具体例(医療選択における価値)
用医疗选择把抽象区分具体化。同一数据之所以会导向不同合理选择,是因为患者对寿命、痛苦、日常生活等价值的排序不同。
第4段の役割 ― 両極端の否定(盲従と拒絶)
同时否定两个极端:盲从专家会逃避自身价值判断,因专家可能出错而全面拒绝专业知识,则会把未经检验的信息与长期积累的知识等量齐观。
第5段の役割 ― 結論(対話としての信頼)
提出可执行的信任方式:追问依据与不确定性,说明自身优先事项,作暂定决定并保留修正可能。将信任重新定义为持续对话,而非停止判断。
第1段:两个问题层次被悄悄混在一起
「何が分かっているか」是知识问题,「私は何を選ぶべきか」包含价值选择。全文就是要拆开这两层,而不是简单讨论专家可信不可信。
第2段:地图比喻的对应关系
地图对应风险、条件与可能性等专业信息;目的地对应个人希望优先的价值。地图能帮助到达,却不能替使用者决定去哪里。
第3段:同一信息可以产生不同合理选择
两位患者不是理解能力有高低,而是价值排序不同。例子证明:专业知识不能独自推出“唯一正确”的个人决定。
第4段:不是“信或不信”的二选一
「だからといって」阻止论证滑向反专家立场。作者一面承认专家可能犯错,一面强调训练与检验仍赋予专业知识特殊分量。
第5段:信任是共同制作判断
专家提供依据与不确定性,当事人提供自己的恐惧和优先事项。双方材料结合后形成可修正的决定,这才是结论中的「対話」。
重点词汇表
| 単語 | 品詞 | 意味(中文) |
|---|---|---|
| 理解しきる | 动Ⅰ | 完全理解 一人では理解しきれない。一个人无法完全理解。 |
| 助言 | 名・动Ⅲ | 建议;忠告 専門家の助言を求める。寻求专家建议。 |
| 預ける | 动Ⅱ | 寄存;托付 判断を他人に預ける。把判断交给他人。 |
| 優先 | 名・动Ⅲ | 优先 安全性を優先する。优先考虑安全性。 |
| 安全性 | 名 | 安全性 製品の安全性を調べる。调查产品安全性。 |
| 副作用 | 名 | 副作用 薬の副作用を説明する。说明药物副作用。 |
| 負担 | 名・动Ⅲ | 负担 体への負担が大きい。对身体负担很大。 |
| 苦痛 | 名 | 痛苦 苦痛をできるだけ抑える。尽量减轻痛苦。 |
| 異なる | 动Ⅰ | 不同 立場によって選択が異なる。选择因立场而异。 |
| 検証 | 名・动Ⅲ | 检验;验证 結果を繰り返し検証する。反复验证结果。 |
| 積み重ね | 名 | 积累 努力の積み重ねが必要だ。需要努力的积累。 |
| 二者択一 | 名 | 二选一 問題は二者択一ではない。问题并非二选一。 |
| 引き受ける | 动Ⅱ | 承担;接受 判断の責任を引き受ける。承担判断责任。 |
| 根拠 | 名 | 依据;根据 判断の根拠を尋ねる。询问判断依据。 |
| 不確か | 形动 | 不确定;不可靠 不確かな点が残る。仍有不确定之处。 |
| 見直す | 动Ⅰ | 重新审视;修正 新しい情報をもとに決定を見直す。根据新信息修正决定。 |
语法点精讲
意味:彻底……;完全…… 接续:动词ます形去ます+きる
- 原文一人では理解しきれない。一个人无法完全理解。
- 長い本を読みきった。读完了长篇书。
意味:在……过程中;趁……期间 接续:动词辞书形/ている形/ない形+うちに
- 原文尋ねるうちに、判断まで任せようとする。问着问着,连判断也想交出去。
- 話しているうちに考えが変わった。说着说着想法变了。
意味:在……条件/指导之下 接续:名词+のもとで
- 原文ある条件のもとで何が起こるかを考える。考虑在某条件下会发生什么。
- 専門家の指導のもとで実験した。在专家指导下实验。
意味:假如……;如果说…… 接续:普通形+とすれば
- 原文専門知が地図だとすれば、目的地は自分で決める。假如专业知识是地图,目的地要自己决定。
- 明日行くとすれば朝がよい。如果明天去,早上比较好。
意味:即使采取……手段也要…… 接续:动词て形+でも
- 原文負担を受け入れてでも治療を選ぶ。即使接受负担也选择治疗。
- 借金してでも留学したい。即使借钱也想留学。
意味:可能……;有可能发生 接续:动词ます形去ます+うる/える
- 原文同じ説明でも選択が異なりうる。即使同样说明,选择也可能不同。
- 誰にでも起こりうる問題だ。这是任何人都可能遇到的问题。
意味:虽说如此,也并不意味着…… 接续:だからといって+普通形+わけではない
- 原文だからといって、専門知を軽く扱ってよいわけではない。话虽如此,也不能轻视专业知识。
- 有名だからといって正しいわけではない。有名并不意味着正确。
意味:直到……之后才…… 接续:动词て形+初めて
- 原文そうして初めて、専門知が判断の材料となる。只有这样,专业知识才成为判断材料。
- 失って初めて大切さに気づいた。失去后才懂得珍贵。
意味:一边……一边……;虽然…… 接续:动词ます形去ます+ながら
- 原文互いの限界を認めながら判断を作る。一边承认彼此限度,一边形成判断。
- 迷いながらも前へ進んだ。虽有迷惘仍向前走。
解答与解析
問1下線部傍線部①「専門知が示すのが地図だとすれば」とあるが、この比喩は何を表しているか。
専門知は選択肢の条件や危険を示すが、何を優先するかまでは決めないということ
地图对应专业信息,目的地对应个人优先的价值;此项完整保留两者边界。
- ✓选项1正解 専門知は選択肢の条件や危険を示すが、何を優先するかまでは決めないということ
地图对应专业信息,目的地对应个人优先的价值;此项完整保留两者边界。
- ✗选项2反向 専門家は本人にとって最も望ましい目的地を知っているが、そこへ行く具体的な方法だけは本人に選ばせるということ
对应关系被倒置;专家提供的是路径信息,并不掌握个人应去的目的地。
- ✗选项3反向 専門知を十分に学べば、どのような人生を送るべきかが自然に決まるということ
原文明确否定价值选择能从知识中自动产生。
- ✗选项4局部细节 安全性を優先する場合には、費用や生活の自由を考えなくてよいということ
只取前句列举的局部价值,并错误地排除了其他考虑。
比喻题先列出喻体两端,再找前文对应项:地图=事实、风险与路径;目的地=个人优先价值。答案必须同时说明专家能做什么与不能替代什么。
依据段落:p2
問2理由同じ説明を聞いても、人によって選択が異なりうるのはなぜか。
何を守り、どの負担を受け入れるかという価値の置き方が人によって違うから
p3 对照两类患者,并总结其差异是「大切にしているものが違う」。
- ✗选项1反向 専門家ごとに成功率や副作用について使う数字が違い、患者に説明する情報の量にも大きな差が生じているから
例中前提是听到同样说明,并非专家提供的数据不同。
- ✗选项2反向 専門的な説明を理解できる人と、理解できない人がいるから
p3 末句明确否定差异来自理解不足。
- ✗选项3局部细节 治療の費用を払えるかどうかだけは、医学では判断できないから
费用是可能价值之一,但医疗例的核心是寿命、痛苦与日常生活等价值排序。
- ✓选项4正解 何を守り、どの負担を受け入れるかという価値の置き方が人によって違うから
p3 对照两类患者,并总结其差异是「大切にしているものが違う」。
理由题注意末句的「〜のではなく、〜のである」:前项排除表面解释“没理解”,后项直接给出真正原因“重视的东西不同”。
依据段落:p3
問3主旨この文章で筆者が最も言いたいことは何か。
専門知の限界を理解したうえで、自分の価値を伝え、専門家との対話から判断を作るべきだ
准确涵盖知识与价值的分工、表达个人优先事项以及结论中的对话式信任。
- ✗选项1反向 専門家も間違えるため、重要な判断では複数の個人的な体験を優先すべきだ
作者承认专家会错,却明确反对将偶然信息与经检验的专业知识等量齐观。
- ✓选项2正解 専門知の限界を理解したうえで、自分の価値を伝え、専門家との対話から判断を作るべきだ
准确涵盖知识与价值的分工、表达个人优先事项以及结论中的对话式信任。
- ✗选项3夸大 専門家の訓練と検証は個人の印象より確かなので、最終決定も専門家に任せるべきだ
训练与检验的价值只是反驳全面拒绝专家,不能推出应交出最终判断。
- ✗选项4无中生有 価値観は人によって異なるので、専門家は事実だけを説明し、助言を避けるべきだ
作者主张专家参与对话并提供判断材料,没有要求其停止建议。
主旨题先用第4段排除“全听/全不听”两个极端,再抓第5段双方各自提供的内容:专家说明依据与不确定,当事人表达价值,最后共同形成可修正判断。
依据段落:p4、p5
衍生练习
次の単語と意味を正しく組み合わせなさい。
新しい証拠を使って、結果をもう一度( )する。
原文に従って空欄を埋めなさい:「何を自分で( )かを区別する。」
「根拠」の意味に最も近いものはどれか。
説明を聞いている( )、疑問が増えてきた。
明日出発する( )、朝六時の電車がよい。
専門家でも間違えるからといって、知識に価値がない( )。
次の語句を正しい順に並べ替えなさい。
「〜てでも」は、ある目的のためなら負担のある手段も取る意志を表す。
専門家が主に答えられる問いはどれか。
専門家の意見が分かれることは、専門知と個人の印象を同じように扱ってよい理由になる。
患者が専門家に伝えるべきこととして、本文に合うものはどれか。
筆者の考える「専門家への信頼」を四十字程度で説明しなさい。
用约40个日文字符说明作者所说的专家信任。
本文の主張は、最終判断を本人が一人で行い、専門家は数字だけを渡すべきだということである。